週末は古墳巡り

古墳とは、およそ3世紀から7世紀に築かれた墳丘状の墓のこと。その数、およそ20万基。

子易・中川原遺跡 現地説明会(10/6) 伊勢原市子易

新東名建設に伴う伊勢原市子易地区での発掘調査で、鈴川右岸の調査区から古墳時代後期の古墳2基が発見された。10月6日に現地説明会が行われたので参加した。この地域で鈴川右岸から古墳が見つかるのは初。鈴川左岸の上粕屋・石倉中遺跡から6基、上粕屋・子易遺跡から6基の古墳が見つかっている。現地説明会は盛況で午前と午後の2回で371人が訪れた。

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田んぼの下から古墳の下部が見つかった1号墳。墳丘の内側に二重の墳丘内列石を巡らせて、外側には方形の石積みを配置する方墳(墳丘下段が方形、上段は不明)と判明。周溝は不定形。全国的に見ても珍しい構築技法。円墳を方墳に作り変えたのか、上円下方墳なのか、来年3月まで調査を継続するとのことなので、進展を期待する。築造時期は今のところ7世紀代と推定されている。この時代に神奈川県内で築造された方墳はこの1基のみ。推古天皇陵、用明天皇陵など天皇陵が方墳になる時代で、「天皇と同じ墳形を造ることが許されるほどの力を持つ指導者がこの古墳を造ったと想定される」とのこと。

2019年2月3日の現地説明会によると方墳と判明とのこと。
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方形石積: 一辺14.8m(上端)、最大5段(現存)、傾斜角約60度。

墳丘内石列(外側): 主軸長14.0m(推定)、副軸長13.6m、段数不明。

墳丘内石列(内側): 主軸長11.8m(推定)、副軸長10.5m、段数不明。

横穴式石室: 主軸長7.9m(現存)、副軸長6.8m(推定)、玄室主軸長3.7m(内寸推定)、奥壁2段積み。奥壁の上段がずれて側壁が倒れている。玄室からは人の歯が検出された。被葬者の歯と思われる。副葬品は見つからず。盗掘されたとは考え難く、副葬品を副葬しなくなった時代の古墳とも解釈できる。近隣では豪華な副葬品が出ているのでお宝の出土を期待したとのこと。
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道路の両脇から一部が検出された2号墳。今のところ円墳と推定。今後、道路の部分も調査するとのことで、方墳とされる可能性もある。
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2号墳の周溝から7世紀代の須恵器が出土。
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遺跡から東の眺望。
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今回の現地説明会には含まれていないが隣接地では縄文時代後期の遺跡を発掘していた。環状列石?
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2019年2月3日に現地説明会が行われた。10月の説明会では道路の下に隠れていた2号墳の発掘が進み、石室や前庭部など古墳の構造を一体的に確認。径約20mの円墳。玄室からは骨の破片、前庭部の周辺では刀子と鉄鏃と推定される鉄製品を検出した。標高約110mと鈴川流域で最も高い地点の古墳。見晴らしが良く「地域の有力者の墓」とみられている。
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子易・中川原遺跡 | 公益財団法人 かながわ考古学財団

子易・中川原遺跡 | 公益財団法人 かながわ考古学財団

【2018年10月6日開催】伊勢原市「子易・中川原遺跡見学会」(終了) | 公益財団法人 かながわ考古学財団

2018年2月の現地説明会では中世の屋敷跡の発掘現場を公開した。

【2018年2月25日開催】伊勢原市「子易・中川原遺跡」見学会(終了)*当日の様子を掲載しました | 公益財団法人 かながわ考古学財団

2015年1月の現地説明会では、中世の呪符木簡と横穴墓3基の発掘現場を公開した。

平成26年度 新東名高速道路建設に伴う発掘調査 子易・中川原遺跡


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