鹿島古墳群の続き。
鹿島84号墳(円墳、横穴式石室) 古墳跡
鹿島85号墳(円墳、横穴式石室)
鹿島古墳群(埼玉県指定史跡)
鹿島古墳群は、荒川右岸の河岸段丘上に東西約1キロにわたって帯状に分布しています。古墳は径10メートル~30メ ートル程の円墳で、荒川よりに密集して 分布し、大水によって流された古墳も数 多くあったと伝えられています。
現在、県指定地の中には56基の円墳が保存され、指定地南側で発掘された27基の古墳やすでに失われた古墳を あわせると100基を越す大古墳群であったと推定されます。埴輪が立てられた古墳は少なく、七世紀を中心に八世紀初頭に至るまで次から次に築造された古墳時代最終末の古墳群と考えられています。
川本町内には鹿島古墳群のほかにも箱崎古墳群・塚原古墳群等が分布し、合計200基近い古墳が確認されています。 また、奈良時代には周辺に古代寺院や集落遺跡が発見され、古墳時代から奈良時代にかけて、この地域 (男衾郡) の中心地として栄えていたようです。
鹿島古墳群は、この地域の歴史を代表する貴重な遺跡として、昭和四十七年に埼玉県指定史跡に指定され、現在広く活用していただくために古墳公園として整備を進めています。
埼玉県教育委員会
川本町教育委員会
鹿島83号墳(円墳、径14.0m、横穴式石室)
文献[1]の分布図と、文献[3]に記された古墳番号で、鹿島84号墳と85号墳の位置が食い違う。上記は文献[3]の古墳番号に従った。上記の84号墳は、現地の説明板の分布図では古墳跡となっている。
埼玉県最古の古墳を桶川市熊野神社古墳とするのはだいぶ古い説で、埼玉県が1986年に発刊した「新編埼玉県史」の「通史編1(原始・古代)」を編集するに当り、県内の主要な初現期の古墳7基を選び、発掘調査した結果、埼玉県では鷲山古墳、諏訪山29号墳、山の根古墳などの前方後方墳が最も古く、5世紀初期には埴輪を持つ古墳も出現していた事実が確認された。また、1989年から実施した埼玉県内所在古墳詳細分布調査で、地域毎に選定した古墳の試掘・測量調査を実施して、東松山市の根岸稲荷神社古墳、吉見町の山の根古墳の調査の結果から、根岸稲荷神社古墳を山の根古墳よりも古い埼玉県最古の古墳(前方後方墳)と位置付けるのか、根岸稲荷神社古墳を前方後方形墳丘墓と分類して山の根古墳を埼玉県最古の古墳(前方後方墳)と位置付けるのかの議論がある。
文献
[1] 埼玉県教育委員会 1994「埼玉県古墳詳細分布調査報告書」
[2] 塩野博 2004「埼玉の古墳 大里」さきたま出版会