古代蓮の里まで戻ってから辯天門樋(べんてんもんぴ)を訪れた。
行田市指定文化財 辯天門樋(べんてんもんぴ)
平成21年7月30日指定この煉瓦造の門樋は、現在は旧忍川につながる農業用水路の取入口になっていますが、元々は江戸時代に現在の行田浄水場付近に広がっていた小針沼の水を旧忍川に排水するために設けられた門樋を、改築したものです。
門樋はイギリス積みの煉瓦造で、明治38年(1905) 4月7日に起工され、同年6月3日に竣工しています。 建設には、深谷市上敷免にあった日本煉瓦製造会社の煉瓦約24,000個が使用されています。
規模は桁行最大長8.5m、川表梁間最大幅4.5m、最大高3.38mで、通水断面は上部が煉瓦三重小端積みのアーチ型になっています。 鋼製のスルーゲートは当初のものではなく、後で取り替えられたものです。
この門樋の特徴は、川表側の壁が左側は直線、右側は曲線と土木構造物としては珍しい左右非対称であることです。これは、かつて旧忍川を行き来していた船から見られることを意識したためと思われます。上部壁四隅に尖塔状のフィニアルが設けられていることからも、それはうかがえます。 また、川裏側の両壁を含め、壁が曲線に なっていることも煉瓦水門としては珍しく、この門樋を特徴づけています。
このように辯天門樋は、造型装飾にもこだわった埼玉県の近代煉瓦生産に関わる貴重な治水関連の土木遺産で あると言えます。