下寺尾官衙遺跡群は、小出川を望む標高約13mの相模原台地頂部に位置する相模国高座郡家(郡衙)と考えられる下寺尾官衙遺跡(西方遺跡)と台地の南裾に位置する下寺尾廃寺跡(七堂伽藍跡)を中心として、隣接する遺跡も含めた複数の遺跡からなる。官衙は約1300年前の律令国家の時代の役所のことで、全国の約66か所の国に国府が置かれ、その下に郡を設けて郡衙(郡家)という役所を置いた。相模国は8郡が置かれ、高座郡は現在の寒川町、綾瀬市、海老名市、相模原市の一部、座間市、茅ヶ崎市、藤沢市の一部、大和市が含まれる。
茅ヶ崎市の「史跡 下寺尾官衙遺跡群保存活用計画」の短期事業(平成29年から令和2年)で公有化・整備された「下寺尾廃寺跡(七堂伽藍跡)」を見学した。
寺院の伽藍域を区画する遺構
第17次確認調査区
推定講堂
推定金堂(堀込地業)
下寺尾寺院跡(伝 七堂伽藍跡)の碑
史跡「下寺尾官衙遺跡群(しもてらおかんがいせきぐん)」|茅ヶ崎市
文献
[1] 岡本孝之 2000 「茅ヶ崎市下寺尾寺院跡」『第7回考古学講座ーかながわの古代寺院』神奈川県考古学会
[2] 大村浩司 2015 「下寺尾七堂伽藍」『第22回考古学講座ー相模国を創る』神奈川県考古学会
[3] 大村浩司 2017「国史跡 下寺尾官衙遺跡群」『第41回神奈川県遺跡調査・研究発表会発表要旨』神奈川県考古学会
[4] 大村浩司 2020「事例報告 重なる史跡における保存活用 -史跡下寺尾官衙遺跡群と史跡下寺尾西方遺跡-」『平成30年度遺跡整備・活用研究集会報告書』独立行政法人国立文化財機構奈良文化財研究所文化遺産部遺跡整備研究室