2ヶ月ほど遡るが、2月の池上遺跡見学会の後に、本庄早稲田の杜ミュージアムで、地域連携展覧会「児玉・深谷地域の古墳と副葬品」を鑑賞した後で「ミュージアムの周辺の古墳」を巡った。最初に向かったのは、北堀前山1号墳。文献[2]では「前方後円墳、全長60m」、文献[3]では「円墳、径約40m、高さ5m、西側に小規模な造り出しが認められ、帆立貝式古墳の可能性もある」、2021年のミニ企画「ミュージアムの周辺の古墳」のパネルでは北堀前山1号墳は「主軸長70m超の前方後円墳、埋葬施設は未調査、後円部に葺石、築造時期は4世紀」、2号墳は「30x25m前後の長方墳、上越新幹線の軌道敷設に伴って調査、埋葬施設は粘土槨、鉄剣・鉄鎌・鉄錐・土師器(坩、壺)が出土、築造時期は4世紀」
埼玉県選定重要遺跡 前山1号墳
前山1号墳(まえやまいちごうふん)は大久保山丘陵の尾根上に所在する前方後円墳です。以前は円墳と考えられていましたが、平成16〜18年に古墳の形状を確認するため、本庄市教育委員会が発掘調査を実施したところ、前方後円墳であることが明らかになりました。
墳丘は、全長70メートル以上、後円部の直径約48メートル、高さ7メートルの規模があります。後円部斜面の一部には、拳大の河原石を並べた「葺石」が存在しています。また、後円部の周囲と前方部の斜面には、堀がめぐっていることも確認されています。
堀のなかからは、土器が検出されており、この土器の型式から、古墳が造られた時期は、古墳時代の前期後半、西暦4世紀後半頃と推定されています。 古墳の頂上部は未調査であるため、埋葬施設の形状や副葬品の内容は明らかではありませんが、全長70メートル以上という大きさは、古墳時代前期の前方後円墳としては、埼玉県内最大規模であることから、本庄地域のみならず周辺にも広く勢威を及ぼした人物の墳墓と考えられます。
なお、1号墳南側の緩斜面には、3基の小型古墳(前山3〜5号墳)が現存しています。また、大久保山丘陵の東麓には、横穴式石室をもつ東谷古墳があり、前山1号墳とともに、大久保山古墳群として、埼玉県の重要遺跡に選定されています。
文献
[1] 埼玉県 1982「新編埼玉県史 資料編 2 原始・古代 弥生・古墳」
[2] 埼玉県教育委員会 1994「埼玉県古墳詳細分布調査報告書」
[3] 塩野博 2004「埼玉の古墳 児玉」さきたま出版会