3月30日の玉川野毛町公園拡張予定地一部開園イベントで開催された「古墳散策ツアー」に参加した。野毛大塚古墳の約1/150の縮尺の復元模型で、野毛大塚古墳の概要を、野毛大塚の墳頂に登り、4つの埋葬施設と埋葬遺物について説明していただいた。埋葬順は第1,3,2,4主体部の順。第2主体部は明治時代に地元の若者が掘って、副葬品と人骨を見つけた。副葬品は東京国立博物館に収蔵。第1主体部は粘土槨の竹割形木棺。木棺の上の中央に漆塗の竪櫛が置かれていた。長さ8mの木棺と甲冑などの武器類が被葬者の権力の大きさを示す。鎧は皮留めで古式。第3主体部は鉄鏃280本と刀32本を副葬。また、墳頂から眼下を眺め、2017年度に実施された下野毛遺跡の発掘調査で検出された野毛13号墳の周溝(一辺約16mの方墳、野毛大塚の陪塚)、縄文時代中期後半の竪穴住居跡の話などをお聞きした。野毛古墳群は13号墳を除くと帆立貝形古墳と円墳のみで前方後円墳がなく、同時代の集落も見つかっていない。現在、川崎市の多摩川右岸にも等々力という地名があり、多摩川は暴れ川で、低地に集落があった可能性はあるが遺跡として残らなかったのかもしれない。
野毛大塚古墳
野毛大塚古墳は5世紀初めに造られた全国でも最大級の帆立貝式前方後円墳です。
墳丘の全長は約82mで、後円部は直径が約68m、高さ約10m、前方部は前端の幅約28m、高さ約2mで、後円部に比べて極端に小さく、低いことが特徴です。
また、前方部のすぐ脇には長さ、幅とも約10m、高さ約1mの造出部と呼ばれる小さな方形部分が付設されています。
さらに、古墳の周囲は最大幅約13m、深かさ約2mの空濠で馬蹄形に囲まれています。
墳丘は平坦な地面に盛土をして築かれていて、前方部は1段、後円部は3段になっています。また、その表面はすべて多摩川の河原石を使った葺石で覆われています。
幅約3mのテラス(平坦な部分)と後円部および前方部の頂上には、円筒埴輪と朝顔形円筒埴輪による埴輪列が、造出部には柵形埴輪がそれぞれ1重に巡っています。この他には家、盾、鶏などの器物や動物などをかたどった形象埴輪が置かれています。
また、濠の中からは、本来は墳丘の上に立てられていた埴輪や、祭りに使われた高坏などの土器(土師器)が出土しました。
世田谷区教育委員会
東京都指定史跡 野毛大塚古墳(のげおおつかこふん)
所在地 世田谷区野毛1-36
指定 昭和50年2月6日
野毛大塚古墳は全長82メートル、後円部の高さ10メートルの帆立貝式の前方後円墳で、前方部に近接して小さな造出部が付設されている。墳丘の周囲には馬蹄形の周濠が掘られており、周濠を含めた全長は104メートルである。三段に構築された墳丘は全体が河原石で覆われ、円筒埴輪がそれぞれの段にめぐらされている。
後円部頂上には4基の埋葬施設があり、中央に粘土に包まれた割竹形木棺、南東側に箱式石棺、北西側に2基の箱形木棺が納められている。割竹形木棺からは甲冑、刀剣、鉄鏃などの武器・武具類、鉄鎌、銅鏡、銅釧、玉類、石製模造品、堅櫛などが、箱式石棺からは刀剣、鉄鏃、玉類、石製模造品などが、2基の箱形木棺からは、刀剣、鉄鏃、鉄鎌、石製模造品、玉類などがそれぞれ出土している。
野毛大塚古墳は関東地方の中期古墳文化を代表する五世紀前半に築造された古墳である。出土した多量の武器・武具類や石製模造品は、この古墳が南武蔵の有力な首長墓であることを示している。
平成5年3月31日 建設 東京都教育委員会
- 玉川野毛町公園が新たに広がります | 世田谷区ホームページ
- 協働の公園づくり「玉川野毛町パークらぼ」の取り組みについて | 世田谷区ホームページ
- 日本考古学協会第1回公開講座「南武蔵の古墳群とその背景を探る」2006年3月18日
- 「あの遺跡は現在!? Vol.21 都営野毛町アパート 世田谷区下野毛遺跡」『たまのよこやま』No.131 東京都埋蔵文化財センター 2022年12月23日
- 「遺跡だより 114 世田谷区 下野毛遺跡」『たまのよこやま』No.111 東京都埋蔵文化財センター 2018年1月25日
- 東京都遺跡調査・研究発表会 49 発表趣旨(令和6年3月3日) (パンフレット)
玉川野毛町公園拡張予定地の一部開園イベント開催!
— 世田谷区広報 (@city_setagaya) 2024年3月19日
(3月30日(土)10時~16時【出入り自由・申込不要】)
当日は公園設計に関するパネル展示のほか、種まきや青空ヨガなど子どもから大人まで楽しめる様々な体験プログラムが盛りだくさん!ぜひお越しください! #世田谷 https://t.co/O8XQ0mtIDW pic.twitter.com/712uDRykq7
文献
[1] 大田区立郷土博物館 1992『大田区 古墳ガイドブック』
[2] 世田谷区教育委員会 2000「野毛大塚古墳の時代 近畿王権と古代の東国」平成11年度特別展図録
[3] 世田谷区立郷土資料館 2016「国重要文化財指定記念 野毛大塚古墳展」平成28年度特別展図録
新聞に載ってた!
— まりこふん (@1224MARI) 2024年4月16日
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文化財スポットガイド
①野毛大塚古墳②等々力渓谷
6月22日(土)までの①毎週土曜午後2時〜3時②毎週水曜午後2時~3時、毎週土曜午前11時~
正午(随時受付、解説時間は10分程度、最終受付時間は終了時間の10分前)
①墳頂と古墳周辺②利剣の橋(不動の滝付近) pic.twitter.com/qxEsLauJJv