川崎市教育委員会主催の令和6年度指定文化財等現地特別公開事業として特別公開された影向寺の文化財を見学した。本特別公開事業は、日頃、保存や保護のため公開されていない川崎市の指定文化財を所有者のご理解とご協力をいただき特別に公開するイベント。今年は橘樹歴史公園のオープンを記念して、影向寺の文化財を特別公開した。
影向寺(ようごうじ)
当寺は、天台宗に属しています。縁起によれば、天平11年(739)光明皇后がご病気のおり、聖武天皇は夢告(ゆめのおつげ)で武蔵国橘樹郡橘郷、すなわちこの地に霊石(れいせき)のあることを知り、早速、当時の高僧行基を使わし祈願させたところ霊験あらたかで、皇后のご病気も快ゆされたという。そして聖武天皇の勅命により、この地に伽藍がそびえたのは、その翌年のことであると伝えています。事実、境内から採集された古瓦の中には、奈良時代のものが含まれ
ており当寺の創建が縁起に近いことがわかります。
境内の安置堂内には、当寺が古刹であることをうらづける数多くの文化財が所蔵されています。
重要文化財に指定されている本尊の木造薬師如来坐像(欅材)と両脇侍立像(桜材)の三躯は、一木造で、平安時代後期の作品です。 風格のあるおだやかな表情とあふれる量感が特徴的です。この本尊には、木造二天立像二躯(平安時代後期)と木造十二神将立像十二躯(室町時代)が眷属として侍立しています。また、木造聖徳太子立像一躯(室町時代)もあり、いずれも川崎市重要歴史記念物に指定されています。
薬師堂は、江戸時代初期の万治年間(1658〜1660)に火災で失い、その後まもなく復興したと伝えられているもので、現在の薬師堂がそれにあたるものとおもわれます。建立の時期は建築様式上の特徴から、寛文頃(1661〜1672)のものとされております。
境内の東南隅にある影向石は、縁起でいう霊石にあたるものでしょうが、その実際上の用途は塔の心礎であろうといわれています。また、江戸時代の民衆が本尊によせてきた信仰を物語る絵馬や昔話の舞台となった乳を乞う母親が祈願したイチョウの大木 など、当寺にかかわる歴史的な話題は数多く伝えられています。
当寺は、天台宗に属しています。縁起によれば、天平11年(739)光明皇后の御病気平癒のため、聖武天皇の勅命により創建されたと伝えられる古刹です。
本尊の木造薬師如来坐像及び両脇侍立像の三軀は、欅材の一木造、彫眼で平安時代後 期に製作されたものです(明治33年4月7日、重要文化財指定)。本尊には、木造二天立像二軀(平安時代後期)と木造十二神将立像十二軀(南北朝時代)が脊属として侍立しています。また、聖徳太子堂には木造聖徳太子立像(室町時代)が納められています(以上、昭和43年2月10日、川崎市重要歷史記念物指定)
現在の薬師堂は、中世以来の伝統的な密教本堂の様式を伝えていますが、銅製棟札により元禄7年(1694)に再建されたことがわかりました(厨子・銅製棟札・手水石 ・石燈籠とともに、昭和52年8月19日、神奈川県重 要文化財指定)。
影向石
影向石
当寺のいわれとなった霊石。奈良朝に本寺創建のとき、ここには美しい塔が建てら
れ、その心礎として使用されました。心礎
には仏舎利が収められ、寺院の信仰の中心 となります。「影向(ようごう)」とは神仏の憑りますところのことで、寺域は太古より神聖な霊地。神仏のましますところとして、信仰されていたものでしょう。幾星霜をへ、塔が失われた以降、この影向石のくぼみには常に霊水がにたえられて乾くことなく、近隣から眼を患う人々が訪れて、その功験によっていやされました。江戸のはじめ万治年間に薬師堂が火を蒙ると、本尊薬師如来は自ら堂を出でて、この石の上に難をのがれたといわれ、それ以来、栄興あるいは養光の寺名を影向とあっためだと伝えられます。
昭和51年5月吉日 重要文化財保存会
力石
力石
にぎやかな祭礼の日、村の老若男女は影向寺へ集まります。若衆たちは相撲を奉納したり大きな石をもちあけて力を競いあいました。祭りは昔の人々にとって信仰の場であるとともに、日々の疲れをいやす場であり、若い男女の語らいの場でもあったのです。この力石には品川 綱島 太尾とあり、 となりのものには下作延村の名もみえます。はるか遠方からも当寺へ参指人が集まっていたことが知られるでしょう。
昭和51年5月吉日 重要文化財保存会
太子堂裏の眺望
11月に #影向寺 で開催する #指定文化財等現地特別公開 の関連講座を行いました。
— 川崎市文化財課 (@Kawasaki_bnkzai) 2024年10月28日
講師 #山本勉 先生の影向寺の仏像解説はとても分かりやすく、当日は満員の盛況。
講座の様子は10月30日18:00~18:10の #イッツコム地元ニュース の番組内で放送されます。ぜひご覧ください。 pic.twitter.com/9VcihuB8Jq
11月8日(金)から10日(日)に宮前区の #影向寺 にて、指定文化財等現地特別公開を実施します。
— 川崎市文化財課 (@Kawasaki_bnkzai) 2024年10月31日
公開時間 10:00〜15:00
国重文木造薬師如来両脇士像ほか、多くの文化財を間近で感じることができます。
その魅力を #山本勉 先生に語っていただきました! pic.twitter.com/0qNzPxONJw
太子堂移築完成法要 pic.twitter.com/DCq3KU7vwr
— 影向寺(ようごうじ) (@yougouji) 2024年11月3日
いよいよ今週の11月8日金曜日から #影向寺 にて #指定文化財等現地特別公開 を開催!詳細はチラシで
— 川崎市文化財課 (@Kawasaki_bnkzai) 2024年11月5日
先日、案内・解説を担当する文化財ボランティア・文化財ボランティア講座受講生と、役割分担や解説内容について確認を行いました。
ご見学の皆様に楽しんでもらえるよう頑張っています! pic.twitter.com/rqCtcnkBdW
指定文化財等現地特別公開 pic.twitter.com/BIjxoVpTXm
— 影向寺(ようごうじ) (@yougouji) 2024年11月8日
今日から、#影向寺 での #指定文化財現地特別公開 が始まりました。
— 川崎市文化財課 (@Kawasaki_bnkzai) 2024年11月8日
文化財ボランティアが、影向寺の文化財の見どころを解説しています。あなたの知らなかった影向寺のひみつに出会える3日間、ぜひおでかけください!
▽詳細はこちらhttps://t.co/P237SMtXcV pic.twitter.com/Wccue9sLFv
#影向寺 で開催中の指定文化財等現地特別公開も最終日を迎えました。
— 川崎市文化財課 (@Kawasaki_bnkzai) 2024年11月10日
思いもかけない質問をうけながらも、文化財ボランティアも勉強しながら、解説やご案内に奔走しています。
地域の貴重な文化財ですので、ぜひこの機会にご覧ください。
本日15時まで、公開しています。 pic.twitter.com/EyHLgUyOQi
指定文化財等現地特別公開
— 影向寺(ようごうじ) (@yougouji) 2024年11月10日
3日目(最終日) pic.twitter.com/XVrg2Gx3y6
#指定文化財等現地特別公開 は、15時をもちまして終了しました。期間中、ご来場くださいましたみなさま、ありがとうございました。
— 川崎市文化財課 (@Kawasaki_bnkzai) 2024年11月10日
また、公開に多大なご協力を賜りました影向寺様、公開講座でのご講演や資料の作成にご指導いただきました #山本勉 先生に感謝申しあげます。 pic.twitter.com/FcsPuZa5xW