山梨県立博物館がオンラインで実施している令和6年度館長講座「遺跡から未来へ─半世紀の探索と発見─」の第2回「縄文時代の環状列石とストーンヘンジ」(9月1日開催)に参加(聴講)した。講師は山梨県立博物館で早稲田大学名誉教授の高橋龍三郎氏。英国のロンドンの約140km西方、ソールズベリーから13kmに位置するストーンヘンジと、日本の縄文時代の環状列石を比較、社会の発達段階が異なり、両者には大きな格差があったとする。ストーンヘンジでは、最近の新説として、祭壇石(砂岩質)が従来の200km西方のウェールズ西部の産出ではなく、約750km北方のスコットランド北東部のオルカディアン盆地産とする豪カーティン大学と英アベリストウィス大学の研究を紹介。日本の環状列石では、縄文時代後期に発達する大型環状列石の起源は、前期の配石遺構が直接的な起源とは考えにくく、中期後葉の木曽郡大野遺跡(長野県)の環状集落の掘建て柱建物群と中央広場の墓域を画す隅丸方形の石列を環状列石の初源的形態とする意見(佐々木藤雄氏)を紹介。また、大型環状列石の性格として、出土遺物ではクマ形土製品、クマ形の石器とクマ形中心(他の動物を含まない)で、クマ形土製品をシンボルとする地域集団が総出で造営したのではないかとする。なお、動物形土製品は種類が少なく、クマ形の他にはイノシシ形、イヌ形、サル形、トリ形、巻貝形に限定され、これらが一つの遺跡から複数種類出土することはなく、氏族のシンボルを示す(トーテム動物)とのこと。あれ、森町のイカ形土製品は?
- 山梨県/館長講座第2回「縄文時代の環状列石とストーンヘンジ」(県立考古博物館)
- Nature ハイライト:巨石の移動:ストーンヘンジの祭壇石のスコットランド起源から示唆される新石器時代ブリテンの社会組織 | Nature | Nature Portfolio
- A Scottish provenance for the Altar Stone of Stonehenge | Nature
- 『縄文時代における墓の変遷と祭り・親族・地域・3』 佐々木藤雄 - 国際縄文学協会|土器・土偶・勾玉など縄文時代の考古学団体
- クマ形土製品|ふるさとの宝物|青森県立郷土館 Aomori Prefectural Museum
- イカ形土製品(鐸形土製品) 文化遺産オンライン
- コラムリレー第184回 縄文時代の鐸形土製品 : 道南ブロック博物館施設等連絡協議会ブログ
\💡9月1日(日)開催📢/
— 山梨県立考古博物館 (@yamanashi_kouko) 2024年8月1日
第2回館長講座の参加者募集をスタートしました📝
今回は「縄文時代の環状列石とストーンヘンジ」をテーマに、いつも以上にワールドワイドな視点で語っていただきます。
リモート配信なのでおうちでゆっくり視聴できます💻
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ストーンヘンジの最寄りのソールズベリーの大聖堂。現存するマグナ・カルタの原本4部のうちの1部が保管されているということをこの講座で知った。
田端環状石積遺構