1982年から1987年に5ヵ年計画で記録保存のための発掘調査が実施された聖山公園遺跡は、最終年度の調査で、予想しなかった縄文時代前期集落跡と思われる遺構を確認して、1ヵ年調査を延長することになった。2ヵ年の調査の結果、検出された遺構は、縄文時代前期の竪穴住居跡27軒、長方形大型建物跡15棟、方形建物跡10棟、掘立柱建物跡17棟、土坑(墓壙も含めて)339基でうち144基は未発掘、奈良時代の竪穴住居跡16軒、掘立柱建物跡17棟、円形有段土坑1基。この成果は学会からも大きく注目され、一般の人々の関心も集め、宇都宮市は、墓地造成計画を変更し、この重要遺跡の保存を決定し、「うつのみや遺跡の広場」として整備した。
うつのみや遺跡の広場 史跡・根古谷台遺跡
昭和63年5月17日指定・文部省
この史跡公園は、縄文時代前期(約5〜6千年前)の根古谷台(ねこやだい)遺跡を中心に整備したものです。
根古谷台遺跡には、墓地になったいる広場を囲んで建物が建ち並んでいたことがわかりました。
そこで復原建物と耳飾り、首飾りなど(重要文化財)が出土した墓穴に重点を置いて整備しました。なお、1号長方形建物は原始古代の復原建物としては日本最大の規模です。
園内には資料館もありますので、ゆっくり御見学ください。
根古谷台遺跡 指定理由
遺跡は関東平野の北部、宇都宮市の西郊に位置する。利根川支流の思川が形成した段丘が侵食されてできた舌状台地の先端付近に立地している。縄文時代前期、黒浜式土器期に集団墓地と建物群が、さらに奈良時代には集落が営まれた。周辺の約7キロメートルの範囲には、3ヶ所の黒浜式土器期の遺跡があり、本遺跡との関連が予想される。墓地公園建設のため昭和61年、62年に宇都宮市が事前調査を実施した。
(中略)
このように本遺跡は、墓域周辺に特殊な構造と大きさをもつ建物群を配置し頻繁に建替えている。また、遺物全体には遺物の種類と量が少なく、竪穴住居跡の多くからクルミ・クリなどの堅果類が出土するという特色をもつ。これらのことは本遺跡が日常の生活の場ではなかったことを示す。例えばいくつかの集団が墓地を囲んで葬送儀礼などの集団祭祀を行ったと考えることもできよう。いずれにせよ、これまで類例のない遺跡であり、縄文時代の社会構造・精神生活を探る上できわめて重要な遺跡である。
(平成4年3月建・宇都宮市)
竪穴住居(J-10)
長方形大型建物(1号)
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長方形大型建物(12号)
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竪穴住居(J-20)
長方形大型建物(13号)
配石墓
長方形大型建物(7号)
掘立柱建物(J-4)
竪穴住居(J-5)
四阿(あずまや)
文献
[1] 宇都宮市教育委員会 1983 『宇都宮市埋蔵文化財調査報告書9:聖山公園遺跡Ⅰ』宇都宮市教育委員会
[2] 宇都宮市教育委員会 1984 『宇都宮市埋蔵文化財調査報告書14:聖山公園遺跡Ⅱ』宇都宮市教育委員会
[3] 宇都宮市教育委員会 1985 『宇都宮市埋蔵文化財調査報告書18:聖山公園遺跡Ⅲ』宇都宮市教育委員会
[4] 宇都宮市教育委員会 1986 『宇都宮市埋蔵文化財調査報告書21:聖山公園遺跡Ⅳ』宇都宮市教育委員会
[5] 宇都宮市教育委員会 1988 『宇都宮市埋蔵文化財調査報告書24:聖山公園遺跡Ⅴ』宇都宮市教育委員会
[6] 宇都宮市教育委員会 1993 『宇都宮市埋蔵文化財調査報告書31:聖山公園遺跡・根古谷台遺跡』宇都宮市教育委員会