「1億5千万年の時をまたぐ場所」の「前原の不整合」を見学した。前原の不整合は、1億5千万年以上前に形成された秩父帯の地層の上に、約1700万年前の古秩父湾の地層が重なる。「不整合」は年代の大きく異なる地層が重なっていることを示す地学用語。
埼玉県指定天然記念物「前原の不整合」
所在地 秩父郡皆野町大字大淵429番地の一部 433番地の2の一部
指定年月日 平成7年3月17日
前原の不整合は、秩父盆地ができはじめたころを物語る重要な露頭です。この露頭は、幅約20m、高さ15mの荒川に面した崖で、秩父盆地を構成する第三紀層が、秩父帯のジュラ紀の地層をおおっている様子が観察できます。 崖の左下に見える黒い岩石が秩父帯のチャートなどで、およそ1億5千万年前の地層です。 ながい年月地殻変動の影響をうけたため、もろく割れやすくなっています。
その上に重なる白っぽい岩石が、 秩父盆地を構成する約1700万年前の地層です。 おもに石英や長石にとむアルコース (花崗質砂岩) で、下部は礫岩になっています。 礫岩を構成する礫は、大小さまざまで、丸いものも角張ったものもあります。 礫の種類は、秩父帯のチャートや砂岩で、この近くに分布する岩石です。 礫の間を埋めているのはアルコースです。 このように、 不整合面の直上にある礫岩は基底礫岩と呼ばれ、浸食の場から堆積の場に転じた最初の堆積物です。
この不整合は、いったん海底に堆積したジュラ紀の地層が、地殻変動により隆起し、陸上で風化浸食された後に再び沈降し、その上に第三紀の地層が堆積したことを物語っています。
ここでは、 不整合面が明瞭で、地層の上下関係が広く立体的に観察できるので、学術的に貴重であるだけではなく、地質学の学習にも適しています。
不整合とは、年代の大きく異なる地層が重なっていることを示す用語で、それらの地層の境界面を不整合面といいます。
国指定天然記念物 前原の不整合
「前原の不整合」は、 国指定天然記念物 「古秩父湾堆積層及び海棲哺乳類化石群」の露頭群のひとつとして指定されています。 露頭面左下の黒色泥岩とその上の層では、1億年以上の時間の隔たりがあります。
前原の不整合 | 秩父音頭のふる里 皆野町 埼玉県秩父郡皆野町ホームページ
「ま」・・・前原の不整合は教科書によく出てくるよ | ジオパーク秩父
文献
[1] 埼玉県立自然の博物館 2016「国天然記念物 古秩父湾堆積層及び海棲哺乳類化石群」
いろいろあってまだ行けてない企画展「The 剤蛇紋岩」の図録を通販で購入しました。昨日、入金してメールしたら今日届いてびっくり。会期は2月26日までなので行きたい。 https://t.co/Wz3XomhEpo pic.twitter.com/UOSI7cQRuH
— ぶじん(かんれき) (@kufunmeguri9) 2022年12月24日
前原の不整合(秩父郡皆野町)
— タイトル未定(仮) (@tukemonojapan11) 2023年2月5日
写真右上の塊状砂岩層が中新統秩父盆地層群白沙層、左下の木の根本に見える黒っぽい層が秩父帯(付加体)のジュラ系粘板岩(泥岩)。不整合直上には基底礫岩(写真2枚目)がある。白沙層砂岩は粗粒で角ばった粒子が多く、貝化石も見つかる(写真3枚目)。 pic.twitter.com/AsqJr3YFfs