本庄早稲田の杜ミュージアムの帰りに深谷市の寅稲荷塚古墳に立ち寄った。ほぼ東西に51mの主軸を持つ前方後円墳。墳丘上に寅稲荷神社を祀る。文献[3]に掲載された図によれば、東が後円部で西が前方部。神社の参道がほぼ主軸に沿って後円部から登り、社殿がくびれ部から前方部に位置する。
寅稲荷古墳(とらいなりこふん)
高崎線岡部駅の北北西1.6Kmに位置し、櫛挽(くしびき)台地北端部近くに存する。古墳付近の標高は約51メートルで台地北側の低地水田面との比高は、約10メートルである。
本古墳の周囲は、かつて多数の古墳が群れを成して存在していたといわれているが、その多くは、昭和初期の開拓により消滅しており、現在存在するものは、2から3基を数えるにすぎない。
本古墳は、ほぼ東西に51mの主軸をもつ前方後円墳で、後円部径26m、同高3m、前方部幅34m、同高3.5mである。前方部の方が若干大きく高くなっており、終末期の前方後円墳の典型例と言うことができる。埴輪の有無は明確ではなく、埋葬施設は、角閃石安山岩を石材として使用した横穴式石室と考えられている。築造時期は、主体部等が未調査であるため明らかではないが、墳丘等の形状からして、六世紀末ごろと考えることができる。
また、前方部から後円部にかけては、寅稲荷神社が鎮座している。祭神は倉稲魂命(うかのみたまのみこと)という。当社には古獅子頭3基が伝えられており、町指定文化財となっている。
平成3年3月 埼玉県 岡部町
文献
[1] 埼玉県教育委員会 1994「埼玉県古墳詳細分布調査報告書」
[2] 宮川進 1997「さいたま古墳めぐり」さきたま出版会
[3] 塩野博 2004「埼玉の古墳 大里」さきたま出版会