週末は古墳巡り

古墳とは、およそ3世紀から7世紀に築かれた墳丘状の墓のこと。その数、およそ20万基。

那須八幡塚古墳 那珂川町吉田

11月の上侍塚古墳での発掘体験の前に、那須小川古墳群を探索した。那須小川古墳群は、那珂川支流の権津川(ごんずがわ)流域に展開する古墳時代前期に築造された古墳群。駒形大塚古墳、吉田温泉(ゆぜん)神社古墳、那須八幡塚古墳の3基の前方後方墳と21基の方墳で構成される。駒形大塚古墳、吉田温泉神社古墳群、那須八幡塚古墳群を合わせて那須小川古墳群として国の史跡に指定された。最初に訪れたのは那須八幡塚古墳。関東地方における出現期の古墳を代表する前方後方墳。全長62m。「夔鳳鏡(きほうきょう)」と2面の中国鏡が出土。

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国指定史跡 那須八幡塚古墳

那須八幡塚古墳は、那珂川に注ぐ権津川を東南に見下ろ す右岸段丘に立地する西向きの前方後方墳である。 前方部は宅地となり墳丘を失っていたが、平成3年冬の墳丘周辺の調査によって全長62m、後方部墳丘幅31m、 同高6mの葺石をもつ古墳であることがわかった。この古墳の前方部の最大幅は17mで、先端の両隅はいくぶん切り落された形を呈している。また、墳丘裾には削り出しによるテラスが墳丘をとりまき、 その外周には不整形な周湟をもつことも明らかになっている。 

昭和28年の発掘調査では、後方部墳頂下1mのところに、東西の両端に粘土塊をもつ木棺と推定される埋葬主体が発見され、その東よりから鏡面を上にした夔鳳鏡(きほうきょう)などの副葬品が朱に覆われて出土し、 東枕の後向きの埋葬とわかった。

遺物は主体部から、夔鳳鏡のほかに、 短剣、鋸(のこぎり)、鉇(やりがんな) 、 鉄斧、はずり小刀、間透(あいすき)などが出土し、周湟からは有段口縁壺や高杯(たかつき)、器台、異形土器などの古式な土師器が出土し共に古墳時代前期に位置付けられる。

これらの発見から、この古墳は古墳時代前期の中でも初期の段階に築造されたことがわかり、駒形大塚古墳と共に那須地方はもとより、 関東地方における出現期の古墳を代表する前方後方墳として挙げることができる。

那珂川町教育委員会

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那須八幡塚古墳の復元整備について

概要

整備は、平成3年度の発掘調査の成果に基づいて失われていた古墳の前方部や後方部の一部に盛土を行い、当時の大きさ・形に復元しました。

墳丘は表面の保護や崩落防止のため芝を張り、 また古墳の周辺を巡る周湟は玉砂利による表示を行っています。

埋葬のようす

後方部の頂平坦面には、東西8.7mm、南北4.8m、深さ1.2mの墓とよばれる穴が掘られ、その底面には、東西両端を粘土塊の上に乗せた長さ6.5m以上の木棺の痕跡があり、ここに死者が葬られていたようです。

亡骸とともに副葬された豊富な品々やそこに認められた水銀朱の存在からこの古墳に葬られた主の権力や葬送の手厚さを感じることができます。

今回の整備では、埋葬部分を玉砂利で表示し、木棺両端にあった粘土塊の位置を石であらわしています。

那珂川町教育委員会

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栃木県指定史跡 那須八幡塚古墳

昭和36年5月6日指定

この古墳は、主軸を東西におき、 那珂川の西岸段丘の断層上に後方部を向ける、 前方後方墳である。

本墳の造成当時の全長は、約58mと推定され、 周溝を巡らした跡も見られる。

墳丘部からは、 埴輪の出土は認められないが、 葺石 が、一部を除いてほぼ全面に葺かれていたと考えられ形状は、 那須地方の特殊性を有する、 古墳時代前期の様相をもった大古墳である。

また、昭和27年の発掘調査では、全国的にも極めて稀にしか出土していない夔鳳鏡(きほうきょう)が発見されたことからも当地方における、 古墳時代前期の大豪族の墳墓として、極めて貴重な古墳である。

栃木県教育委員会小川町教育委員会

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埋葬部分の位置を示す玉砂利と両端の粘土塊の位置を示す石
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国指定文化財等データベース
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栃木県那須郡那珂川町吉田 那須八幡塚古墳 | 古墳探訪記
那珂川町那須八幡塚古墳群(那須小川古墳群 その3) | 趣味の案件

時間の都合で今回は訪れなかったが、南側の工場の敷地内に富士山古墳(方墳、一辺約30m)がある。

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文献

[1] 栃木県立なす風土記の丘資料館 1993『前方後方墳の世界 - 前方後方墳の成立と展開 -』

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