足立区千住桜木の元宿堰稲荷神社は本殿が煉瓦造。文献[1][3]に明治のはじめ頃に元宿堀に堰を設けたときの逸話として、怪我人が続出して工事が難航していたが工事を請け負った宮城村の下川氏が、夢枕に現れた狐のお告げに従い、堰に使っている煉瓦と同じ煉瓦で小さな御堂を造り、土中から見つかった田中稲荷の石を祀ったところ、工事が順調に進み元宿堰が完成したという話を紹介する。この御堂が元宿堰稲荷神社の始まりで、この逸話から出世稲荷として信仰を集めたとのこと。宮城村の下川氏とは以前にブログ記事で紹介した馬さん煉化工場の下川馬次郎氏のこと。
足立区の 保存樹木 いちょう
近くの交差点に「元宿堀」と「武州千住」の説明板がある。
文献
[1] 高橋直二 1969 『足立史談』17号
[2] 足立区立郷土博物館 1992「炎のなかから生まれた近代 文明開化とあだちの煉瓦」
[3] 佐藤貴浩 2018「はい!文化財係です。Vol.1 煉瓦と足立」『足立史談』605号