7月に訪れた大洗町と明治の博物館は、元老院議官・警視総監・学習院長を歴任し、1895年(明治28年)宮内次官、1898年宮内大臣となった田中光顕(みつあき)により、1929年(昭和4年)に「常陽明治記念館」として開館。2010年(平成22年)6月に(財)常陽明治記念会から大洗町に移管され、町営となった。幕末から明治の志士・元勲たちの書画や遺品を数多く収蔵しており、幕末から明治の激動の時代の流れを分かりやすく学ぶことができる。当館を訪れて、明治天皇のご尊像、及び陛下から下賜された品々を展示する博物館が大洗にあるのが不思議だった。常陸明治記念館の創立者の田中光顕は、明治維新の志士の遺墨等の蒐集につとめ、1925年、郷里に青山文庫(高知県佐川町)を開館、1930年に多摩聖蹟記念館(東京都多摩市)を設立するなど晩年を維新烈士の顕彰に務めたそうだ。田中光顕が大洗に常陽明治記念館を創立した背景として、明治維新の思想的原動力になった水戸学、および、水戸殉難志士の墓や天回神社が語る水戸藩の悲劇を理解する必要があろう。東京だと大手町の将門の首塚や神田明神、上野恩賜公園の西郷隆盛像と彰義隊の墓のような意味合いであろうか。
田中光顕伯
徳富蘇峰先生顕彰碑