Twitterで愛知県の西上免遺跡のツイートを見て、語尾に「免」が付く地名が気になって調べたら、柳田國男の「地名の研究」に以下の記述を見つけた。地租率ごとに土地を区別した名残か。
肥前という国は妙に昔の呼び方の残った国で何々村何々郷という所もあればまた何村何籠という称もある。籠は何と読むか知らぬ。またあるいは大字何々字何々里もしくは何々村大字何何字何々免(めん)というのもある。免は地租の関係から出た語である。免は今の語でいえば地租率である。各免ごとに納率を異にし得たのである。壱岐いきの島へ渡ると右の名、籠、免に当る区劃を触の字を書いてフレという。
最初に、気がついたのは川崎市の久地伊屋之免(くじいやのめ)古墳。次に伊勢原市の埒免(らちめん)古墳。その次に深谷市の日本煉瓦製造の上敷免(じょうしきめん)製の刻印。その次が西上免(にしじょうめん)遺跡。ここで調べる気になった。
下記の情報では長崎県に特定の語尾がつく地名が多くあるそうだ。
〜免、〜触、〜郷・・・、長崎県の特徴的な字名(落書き帳アーカイブズ)
長崎県には、大字名に特定の語尾がつくところが多く、地図を見ているだけで楽しいです。
壱岐島・・・「~触(ふれ)」ただし、港のある主要集落は「~浦」、郷ノ浦など。
田平町、佐々町、江迎町など北松浦郡一帯・・・「~免」
長与町、時津町など西彼杵郡・東彼杵郡一帯・・・「~郷」
高来町、森野町など、北高来郡・南高来郡一帯・・・「~名」
調べるきっかけになった西上免遺跡のツイート。
過去に訪ねた遺跡・神社の振り返り、第104回です。
— ひろ(小嶋浩毅) (@TakeruHK) 2020年7月7日
2019年8月 愛知県 西上免遺跡。
東海北陸道の工事で見つかった全長40mの前方後方墳。出土したパレススタイル壺やS字甕などから3世紀前半から中頃の築造であることが判明。邪馬台国時代に遡る最古級の前方後方墳です。完全に消滅したのは残念。 pic.twitter.com/sYNaJ4BQJf
久地伊屋之免古墳は文献[1]で興味を持った。
伊勢原市の埓免古墳は2018年秋に訪れた。
日本煉瓦製造の上敷免製の刻印の煉瓦は旧陸軍の煉瓦遺構で見つかる。深谷市の上敷免はまだ訪れていない。いずれ訪れたい。
深谷市、旧煉瓦製造施設。旧事務所は資料館になっています。ホフマン6号窯は改修中で見学できませんでした💦 pic.twitter.com/q9JjFgg3hM
— 新道coron🍡 (@shindou_2016) 2020年7月26日
こんな研究もある。「小地域地名の語尾と自然災害リスクの関連性」花岡和聖
ちゃんとした専門家による地名末尾のマッピングと解析については例えばこういう事例があるようです。ぼくのとはレベルが違いますね…(当たり前)。
— 三土たつお (@mitsuchi) 2020年6月19日
花岡和聖「小地域地名の語尾と自然災害リスクの関連性」(2015年)https://t.co/cKEGaB8lHh pic.twitter.com/BcpwCd67n7
「地名の最後の一文字だけで地図をつくると地形が見える」という記事を書きました。代官山なら「山」だけを取り出すといったものです。東京のものを以前作ったのですが、新しく各地の地図を作ってみました。https://t.co/eN2tPGokBe
— 三土たつお (@mitsuchi) 2020年6月19日
西上免遺跡
古墳時代前期の西日本の古墳は前方後「円」形、東日本の古墳は前方後「方」形が主流とする説があります。一宮市西上免遺跡で発見された前方後方墳がその説の有力な根拠にもなっています。西日本は「丸」餅、東日本は「角」餅が多いことともよく似ています。歴史・文化は実に奥深い…。 pic.twitter.com/2Lh5UeeioB
— 愛知県埋蔵文化財センター (@aichi_maibun) 2022年12月28日
文献
[1] 持田春吉・村田文夫 1993「久地伊屋之免古墳と虚空蔵山古墳」『考古論叢 神奈河』2 神奈川県考古学会