週末は古墳巡り

古墳とは、およそ3世紀から7世紀に築かれた墳丘状の墓のこと。その数、およそ20万基。

古墳ファンが選ぶ古墳時代のイノベーション

イノベーションは技術革新と邦訳されるが、古墳時代イノベーションのトップ3を古墳ファンの視点で選ぶとするなら、「前方後円墳」「埴輪」「横穴式石室」を選びたい。トップ5なら「銅鏡」「鉄製品(武具・馬具・農具)」を追加する。さらに特別賞として鏡や鉄剣・鉄刀、石碑の「銘文」を選ぶ。

前方後円墳」は本邦初のデファクトスタンダード(事実上の標準)。もしかしたら公的な標準化機関から認証されたデジュリスタンダードだったかもしれない。「前方後円墳」は韓国にも展開されており、海外展開された本邦初のスタンダードとしても記念すべき。日本発のデファクトスタンダードは、ビデオテープのVHS(ベクター)とベータマックス(ソニー)くらいか。スタンダードを目指した規格としてはドコモの「iモード(i-mode)」やNHKのアナログハイビジョンの「MUSE方式」などがあったが後発の破壊的イノベーション(スマートフォンとデジタルハイビジョン)にやられた。

履中天皇陵の約2/5の規格で造られた富津市の内裏塚古墳
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「埴輪」は『日本書紀』で垂仁天皇32年条に、野見宿禰が日葉酢媛命の陵墓へ殉死者を埋める代わりに土で作った人馬を立てることを提案したとする記事がある。考古学的には吉備地方の特殊器台・特殊壺が起源とする。埴輪は円筒形と壺形埴輪に始まり、4世紀に家形・器財形・動物形(鶏)が出現し、5世紀以降に人物埴輪が出現するため、『日本書紀』の記事とは辻褄が合わない。埴輪の編年研究により古墳から出土する埴輪が、古墳の築造年代の推定の有力な手がかりとなるため、現在の古墳研究に貢献する古墳時代イノベーションと言えるかもしれない。

國學院大学博物館の埴輪の展示
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「横穴式石室」は古墳の横に穴をうがって遺体を納める玄室へつながる通路に当たる羨道(せんどう)を造りつけた石積みの墓室のことで、中国の塼槨墓(せんかくぼ)の影響を受け朝鮮半島経由で4世紀後半ごろに百済から北部九州に伝わり、それが九州全域に拡がり、東の方へ伝わった。それ以前の古墳では粘土槨による竪穴式の墓室や竪穴式の石室に被葬者を埋葬した。横穴式石室の採用により、追葬や再葬など数次にわたる埋葬が可能になった。

関東における最古段階の群馬県安中市の梁瀬二子塚古墳の横穴式石室
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