4月29日から松戸市立博物館で開催中の館蔵資料展「どきどきクロノロジー」で、担当学芸員が展示の見どころを語るギャラリートークに参加した。本展は、博物館開館30周年、千葉県誕生150周年、松戸市制施行80周年を記念して、松戸市域の縄文土器を題材に、考古学の基礎的な研究分野であるクロノロジー(編年)の基本的な方法や理論を紹介する。展示内容もわかりやすく、ギャラリートークで担当学芸員から解説していただき、参加者の質問にも丁寧にご対応いただいたので、型式ごとの縄文土器の文様の特徴の変化が理解できた。また、子供が楽しみながら学べる仕掛けが色々あって素晴らしい。会期は6月11日まで。本展は観覧無料。
明日 #4月28日 は館内整理日のため休館となります!#4月29日 からは館蔵資料展「どきどきクロノロジー」を開催します!✨✨😀
— 松戸市立博物館 (@matsudo_museum) 2023年4月27日
写真は展示準備中の様子です!
皆様のご来館お待ちしております!#松戸 #松戸市 #松戸市立博物館 #博物館 #土器 pic.twitter.com/LHadj8fuu7
明日 開幕の館蔵資料展 #どきどきクロノロジー では #縄文土器 の古さを調べる方法を紹介しています。地面の下には長い年月をかけて土が積み重なっており、上の方にある層ほど新しい土でできています。この法則を利用して、下の方でみつかった #土器 ほど古い土器だと判断することができます。1/4 pic.twitter.com/CXIrMqe8h0
— 松戸市立博物館 (@matsudo_museum) 2023年4月28日
いよいよ開幕しました、館蔵資料展 #どきどきクロノロジー #みんなで作る虹色貝塚 へのファースト廃棄は渡辺館長にお願いしました!この貝塚、会期中にどこまで積み上がるでしょうか?みんなで貝を廃棄して、時の積み重なりを体感しましょう!ご来場お待ちしております。 pic.twitter.com/lxfddgdc08
— 松戸市立博物館 (@matsudo_museum) 2023年4月29日
4/29館蔵資料展初日の虹色貝塚は担当者の予測よりも早いペースで積み上がり、午前中だけで用意していた赤色の貝が全て廃棄されてしまいました。
— 松戸市立博物館 (@matsudo_museum) 2023年4月29日
しかたがないので、午後からはオレンジ色の貝を廃棄していただきました。順調に積みあがっています。#みんなでつくる虹色貝塚 #どきどきクロノロジー pic.twitter.com/CaIJv0PcKd
松戸市立博物館30周年、松戸市80周年、千葉県150年というアニバーサリーイヤーを記念して、企画された"どきどきクロノロジー"
— chiba_kofun (@yukio_0525_) 2023年4月29日
編年=クロノロジー
文字がない時代に、
土器の変化から時代を測る。#松戸市立博物館 pic.twitter.com/sI4vOWGHZ9
土器は粘土により作成されるため、形の自由度高く、その造形は時代とともに変化した。さらに、容易に壊れるため、作り直す機会も多い編年を評価するのに適している。 pic.twitter.com/EDSXXEs1uT
— chiba_kofun (@yukio_0525_) 2023年4月29日
主なものは以下の3つ。
— chiba_kofun (@yukio_0525_) 2023年4月29日
◆層位学的方法
何処で見つかったのか?
地層の深さ どの地層=古さ
貝塚では、特に、細かく層がわかれているので、順番が分かりやすい。
基本的だが、一つの層の中に幾つかのグループが混在することがあり、限界がある。
例 里浜貝塚(宮城県)、貝の花貝塚(松戸市) pic.twitter.com/UWrGtfDvjF
◆形式学的方法
— chiba_kofun (@yukio_0525_) 2023年4月29日
土器型式
時期、場所
似ているもののグループとして、遺跡の名前が付けられる。ただ、変化の方向はわからないので、層位学的方法と組み合わせたり、年代が分かっているものを手がかりに
一般に、名残を残しつつ、変化していく。 pic.twitter.com/kYZoVDrwYw
観察のポイントとして、縄文土器は横方向に 口縁部と胴部で文様帯別れる。そこで、文様帯同士を比較していく。
— chiba_kofun (@yukio_0525_) 2023年4月29日
さて、なんで、こうした土器の編年ができるのか?何らかの集団における仲間のしるしとする説が有力。機能よりも、同じ集団における他との差別化がなされた?
加曽利E式
— chiba_kofun (@yukio_0525_) 2023年4月29日
EⅠ 口縁:突起、クランク文、胴部:縦文様
EⅡ 口縁:突起なくなり、渦巻文、胴部:縦文様の間に磨消の縦縞
EⅢ 口縁部文様帯がなくなる 、縦縞は上下に分かれて、U字、逆U字へ
EⅣ 表面をつまみ出したような突起 文様は似ているが描く線は、沈線→隆線 pic.twitter.com/XMlVfHae3f
称名寺式
— chiba_kofun (@yukio_0525_) 2023年4月29日
中津式(西日本)の文様を取り込んだ新しい文様へ。特徴的なJ字状の磨消縄文。
加曽利E式系統が残りつつ、これらの土器が共存する。 pic.twitter.com/NHC2VQD0oT
堀之内式
— chiba_kofun (@yukio_0525_) 2023年4月29日
称名寺式の磨消縄文は、垂れ下がる線の束へ変化。間は、ジグザグ、渦巻で埋められる。
東北南部の綱取式によく似たものも共存。
Ⅰ→2
文様は、縦方向→横方向となり、ジグザグ→ひし形、三角形の文様に変化。形も幅が広がる。 pic.twitter.com/P61nMeObrb
加曽利B式
— chiba_kofun (@yukio_0525_) 2023年4月29日
B1 縦方向が狭くなり、ただの横線へ。数条の平行な横線に。横帯文はところどころ区切られて、「の」字もみられる。
B2 古段階「の」カッコみたいな文様→対弧文
新段階 ここで、東北地方の影響を受け、大きく変化。斜線文、曲線的な磨消縄文。
B3 縁に刻目、さらに、その下に縄文 pic.twitter.com/WDuY3TPqCY
曽谷式
— chiba_kofun (@yukio_0525_) 2023年4月29日
曲線的な摩消縄文は引き継がれるが、口の部分に瘤のような装飾
安行
1 瘤は引き継がれ、口に沿った帯状の盛り上がりに縄文が3~4段ほど重なる
隆起縄文
2 瘤に刻目が加えられる
ブタ鼻状 pic.twitter.com/df3vgBN0Pg
3a 三叉文
— chiba_kofun (@yukio_0525_) 2023年4月29日
大洞B式の影響
3b / 姥山式
千葉は姥山式
ひし形の区画と丸を中心に打った円圏文が特徴
3c 縄目模様なくなる。線だけの文様の中を米粒のような点で埋める
3d 米粒のような点はなくなり、線だけで文様が描かれる
3c. d / 前浦式
縄文は残る
入り組み三叉文
太い沈線 pic.twitter.com/HFeM9Bd0oT
◆放射性炭素年代測定
— chiba_kofun (@yukio_0525_) 2023年4月29日
炭素14の割合を調べる。おおよそ過去5万年まで適応可。測定された検体が適切か否か、また、海洋リザーバー効果など測定にずれることもあり、絶対的とは言えない。
以上、個人の備忘録。
関東東部における中期後半から晩期にかけて、土器編年の変化をわかりやすい解説付きで、実物を見ながらゆっくり観察ができ、とても勉強になりました。昼ご飯も忘れて、一日中企画展示室にしてしまい、結果として、ギャラリートークも2回拝聴させて頂きました。😊
— chiba_kofun (@yukio_0525_) 2023年4月29日
素敵な企画ありがとうございました!
「どきどきクロノロジー」松戸市博物館。
— 古代人? (@Kikiki93886931) 2023年4月29日
縄文土器だらけ。
注口土器の優品も多い。
縄文土器は中期の加曽利E式土器から晩期の安行3cまで破片まで並べてその変化を展示している。
この展示をじっくり見学するとシロウトの自分でもよくわかる気がする。
これは松戸地域の縄文時代研究の最新成果です。 pic.twitter.com/NoRoYVfoZL
これは加曽利貝塚や埼玉の土器の様相とも少し異なる。
— 古代人? (@Kikiki93886931) 2023年4月29日
学芸員がここ数年、研究してきた松戸市の縄文時代の分析がわかりやすく展示されている。
特に後期中葉の加曽利B式の画期が注目される。
この段階で東北の土器の影響を受けてB2式のなかで劇的に変化しているとする。
地域性も有るのかな。 pic.twitter.com/G7QEoOGZvv
晩期の安行3式には東北から大洞C1土器も入ってきて大きな影響を受ける。
— 古代人? (@Kikiki93886931) 2023年4月29日
その中で茨城南部の前浦式の様相も強くなるようだ。
素晴らしい縄文土器と破片と。
実物と図解で最新の学説が理解できる。
縄文土器の地域性がより鮮明になった。
講演とギャラリートークでもう少し詳しく知りたいですね。 pic.twitter.com/NUe52Mqn37
僕は少し考え方が違うので書いておきます。
— 蓼沼香未由 Kamiyu Tatenuma (@ibakoukoya) 2023年5月6日
加曽利B2式新段階の斜線紋の成立過程は、幾つか考えられますが、B1式古段階:単位紋の菱形紋、B1新段階:菱形紋が横へ拡張→菱形紋が連結し横連対弧紋へ変容、B2古段階:東関東では無紋化、沈線の集合化が進行、→ #どきどきクロノロジー pic.twitter.com/DvFJMRt2yH
B2新段階:矢羽根状・X字状斜線紋に変容するので、下の二つの土器の文様は「連続性がほとんどない」とは考えにくく、東関東内で系譜にあるとも言えます。突起も同(正博氏の緩頂波・急頂波)で、かなり崩れるB2式古段階を一時期として挟むことが大切かと思います。 #どきどきクロノロジー pic.twitter.com/LSKXqb4DUW
— 蓼沼香未由 Kamiyu Tatenuma (@ibakoukoya) 2023年5月6日
#どきどきクロノロジー #みんなでつくる虹色貝塚
— 松戸市立博物館 (@matsudo_museum) 2023年6月11日
本日をもちまして会期を終了いたしました。
ご協力いただきました虹色貝塚も見事に積みあがりました。
ご来場いただきました皆様に、厚く御礼申し上げます。
ありがとうございました。 pic.twitter.com/irnOntB1xV