週末は古墳巡り

古墳とは、およそ3世紀から7世紀に築かれた墳丘状の墓のこと。その数、およそ20万基。

くまん塚 (再訪) 戸田市本町

戸田市立郷土博物館の企画展「ここまで分かった!戸田市埋蔵文化財最新情報展」で、1999年の上戸田本村遺跡第4次調査で出土した馬形埴輪と人物埴輪を鑑賞した。この馬形埴輪と人物埴輪は、くまん塚の周溝の一部と思われる溝跡から発見された。その時の発掘調査全景と埴輪出土状態の写真がパネル展示されていた。このパネルだけでは、調査区の位置関係がよくわからなかったので、戸田市立中央図書館で、1次から4次までの上戸田本村遺跡の調査報告書(文献[1][2][3][4])を調べた。その結果、前回、くまん塚を訪れた時の理解が間違っていたようなので、現地を再訪した。

上戸田本村遺跡は、くまん塚と称する古墳跡や土師器の散布地として知られており、横穴石室の石材の一部と直刀ニ振が伝わる。1978年に最初の発掘調査が市史編さん事業の一環として実施され、古墳時代前期の住居跡2軒と方形周溝墓2基、古墳時代後期の住居跡2軒を検出。その後、1993年の第2次調査で弥生時代後期後半の溝跡(環濠)1本と古墳時代前期の住居跡13軒を検出。1995年の第3次調査では溝跡(環濠)の続きや古墳時代前期の住居跡1軒、古墳時代後期の土器が破棄された溝状遺構1ヶ所を検出。1999年の第4次調査では、長さ14.0m、幅2.3〜3.0m、遺構確認面からの深さ61.1cmの溝状遺構を検出。この溝状遺構からは馬形埴輪、人物埴輪の胴部と腕部、頭髪部の髷、首部の装飾表現、円筒埴輪が出土。くまん塚の周溝の一部と考えられる。

上戸田本村遺跡第4次調査区(赤線が溝状遺構、黄色が埴輪片)
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上戸田本村遺跡第1次調査区
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上戸田本村遺跡第2次調査区
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上戸田本村遺跡第3次調査区
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文献

[1] 戸田市 1981「第一編 原始・古代資料 第六節 上戸田本村遺跡」『戸田市史 資料編一 原始・古代・中世』

[2] 戸田市遺跡調査会 1996「上戸田本村遺跡II」埼玉県戸田市遺跡調査会報告書 第6集

[3] 戸田市遺跡調査会 1998「上戸田本村遺跡III」埼玉県戸田市遺跡調査会報告書 第7集

[4] 戸田市遺跡調査会 2004「上戸田本村遺跡IV」埼玉県戸田市遺跡調査会報告書 第9集

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