銭室塚古墳は、那珂川左岸の段丘上にある二段築成の円墳。径26m。
那珂川左岸段丘上に立地する2段築成の円墳である。直径26m、高さ4.5mあり、ほぼ中段にテラス状の平坦面を持つ。墳丘表面は、河原石の葺石で覆われている。埴輪等が伴っていた痕跡は見あたらない。また、現形からは認められないが、基盤整備時の土の観察から、幅5mほどの周溝が伴っていたといわれている。
主体部は、南西に面して開口している河原石を乱石積みした両袖型の横穴式石室である。石室の規模は!玄室長さ6.3m、玄室最大幅2.0m、奥壁幅1.4m、奥壁高さ1.45mを測る。玄門には「ほうだて石(袖石)」が左右に立ち、その上に「まぐさ(楣)石」がしっかりと載っている。羨道部(墓道)の天井石は外されて墳丘南斜面に1個存在している。側壁は、土砂に覆われているが、その長さは約3mほどである。
いつの時期か盗掘を受け、石室内に遺物は見あたらない。ただ、金銀珍宝を埋めた塚と言い伝えられて銭室塚の名が残っている。
現在、周囲には他の古墳は認められないが、当時は数基の円墳が群集しており、この古墳もその中のひとつであったと思われる。
周囲の水田には、古墳時代後期に比定できる土器片が散布しており、銭室塚古墳もこの時期に築造されたものと推定される。未調査の古墳であるが、円墳ではなく墳形を帆立貝式とみる考え方もある。