大田区は横穴墓の密集地で、区内の台地斜面には500基をこえる横穴墓が存在したと推定される。国道1号線(第二京浜国道)の敷設工事の際に、大田区の塚越から馬込にかけて、台地が掘削され、多くの横穴墓が露出したという。大田区立馬込中学校の近くの墓地に「無縁霊位」がある。
由緒として下記が記される。
耕地整理工事發掘 昭和九年四月
当霊域に埋葬せる百八十有余の精霊、昭和9年4月馬込第三耕地整理組合道路工事並に昭和十一年十月内務省起工東京新京浜国道開発中発掘せられたるものにて今をさる千三百年以前の横穴式古墳なり慈に有志相謀り英霊を慰めんため無縁塔を建設す
昭和十五年九月
正式な調査は行われなかったため詳細は不明だが、塚越横穴墓群の第14号墓から出土した金銅装頭椎大刀、円頭大刀、鉄刀、鉄鏃、轡、第35号墓から出土した直刀が菊池義次コレクションとして伝わる。
Google mapだと大田区立馬込中学校の手前のマンションの裏あたりに「塚越横穴墓群」が記されている。手前の道路が国道1号線。
文献
[1] 大田区立郷土博物館 2006『横穴墓のなぞ』図録