東急田園都市線市ヶ尾駅からバスで5分の丘陵にある稲荷前古墳群。1967年、69年の発掘調査で前方後円墳(2基)、前方後方墳(1基)、方墳(3基)、円墳(4基)の10基の古墳と3群9基以上の横穴墓が発見された。このうち15、16、17号墳は保存されたが、それ以外は開発のため消滅した。1966年の東急田園都市線の開通によって、土地開発のため周辺の丘陵の多くが削り取られた。
バス停を降りると崖面防災工事中で、南側の階段からは上がれず。
北側から。
16号墳。前方後方墳。全長37.5m。4世紀後半の築造。主軸は南北方向で北が前方部、南が後方部。周濠あり(幅1.2〜1.4m)。埴輪なし、葺石なし。五領式土器(二重口縁壺・単口縁壺・小形器台)。荏田古墳群の虚空蔵山古墳と同時期の築造で横浜市域では最も古い時期の古墳。尾根上、標高44m、沖積地からの比高22mに立地。
前方部から後方部。
前方部の上から後方部。
前方部の上から丹沢山地の眺め。南側の階段の入り口が閉鎖されている。
後方部から前方部。
17号墳。方墳。規模不明。
15号墳。方墳。規模不明。
15号墳の先にあった古墳群は住宅地になっている。
バス停で1つ先の鉄(くろがね)町は佐藤春夫「田園の憂鬱」の由縁の地。
文献
[1] 東京新聞編集局 1993「古墳を歩く」